2024年5月下旬。
今年初戦の横浜大会を無事に完走し(自分の脚だけで!)、高鳴る期待を胸に、株式会社ワールドウィングエンタープライズ(以下、ワールドウィング本部)の門を再び叩く…。
今回の合宿は、前回から約1ヶ月後に参加。非常に短いスパンでの合宿なので、さらなる機能改善への期待が高まります。
それでは、今回で4回目となるワールドウィング本部合宿の様子を、日々のトレーニング日誌から抜粋してレポートしていきましょう!
今回の合宿は2日間の延長となり、計6日間のトレーニングとなりました!
日々の詳細な様子は、月額寄付によるサポーター様向け特典として公開中です!
前日
今回は16時にホテル到着。
なぜか、毎回屈指の影響で褥瘡が痛くなる。なぜかと思えば、3時間の運転で座りっぱなしやからか。
4回目にしてようやく気付いた。
1時間ごとに休憩をいれても、なかなか。
やはり、立位の方が最近はよく緩んでるなという印象。もちろん、立位も長時間続けると拘縮してくるけれども。
っくりしても良かったんやけれど、時間が早かったので、今回は4回目の鳥取にして初の鳥取砂丘へ。
砂丘を歩けるほど、足趾の状態はよくなかった。ひたすらに、小指と薬指の褥瘡が痛い。悔しい。
いつか、この脚で歩いてやろう。待ってろよ鳥取砂丘。
初日
実はこの日は30歳の誕生日でした。おめでとう俺。
ワールドウィング鳥取本部から、30代の人生がスタートすると思うと、とても感慨深いものがある。
そして、レースで生じた左脹脛外側の筋肉痛は、完全に治っていて。準備万端。
初日は、前回の合宿で作成してもらったメニューをゆったりとやりながら、軽めに解していくイメージ。
午後からは小山先生がいらっしゃって。非常に興味深い話を聞いた。
背中に、背骨が3本あるとイメージするらしい。
左広背筋、背骨、右広背筋の3本。
この3本を背骨を中心として回転させることで、からだを使うとのこと。
面白過ぎる。そうなると、すべての運動が回転運動になる。つまり、一方向のベクトルによる運動ではなく、角度φによる回転モーメントが発生する、ということか。
高校生レベルの力学の知識しかなく、さらに忘れてることも多くて、なかなか深くは理解できてないとは思うけれども。それでも、人間のからだの使い方が回転モーメントによる運動であるというのは非常に面白い。
ベクトルの力積とかじゃないんやな。きっと。
いや、けど各分室の重心ベクトルと運動方向へのベクトルFの力積によって、回転モーメントが生じてるんかな。
うーん、この辺はまた、時間作って再勉強する必要があるかもしれない。
…話が脱線した。閑話休題。
その話を聞いた後で、菰田コーチにケアしていただいた。初ケア。
ケアってなんなのか、いまいちよくわかっていないのだけれども。おそらく筋紡錘の反復振動刺激による運動ニューロンの活性化とか、1a1b抑制を狙っているのかな、と思う。ミクロはマジでわからん。
初日はそんな感じでした。
2日目
2日目の朝。
今回の合宿では、朝風呂に入るタイミングが多かったな。からだを温めて動きをよくするために。
初めてケアしてもらった次の日の朝としては。ふくらはぎに不思議な温かさを感じて。なんか、下肢の重力がなくなった感覚と言えばいいか。そんな感じやった。
ジムの窓からは、一輪のバラが覗いていて。
美しかった。
この日は、これまでの中で一番ゆったりとした心持でトレーニングできたと思う。
午後は、小山先生から脚の回内について教わる。
内踝を前に向ける形。というか、いつも右骨盤先行で歩く時の左脚の状態。あれが回内らしい。
そして、脚を振り出すときは回内ポジションで振り出して。地面に乗せるタイミングでペルビスの内旋状態にする。つまり、左骨盤を振り出す。
そうすると、勝手に足趾が緩むとのこと。
左骨盤で歩く。いや、骨盤とかじゃない気もする。歩く中で、骨盤を使って緩める、というところか。
言語化難しいな。
2日目は、足底のケアをしていただいた。
3日目
3日目の朝に歩いてみて。のの字歩行がわかった気がする。
回内→骨盤で使う。緩む。
いやー?たぶん先に近位筋が動くはずやけれども…。まぁ、イメージの問題か。イメージでも問題か。
立位の感覚だと、足底や指の状態はあまり変わらない、というかよくわからないけれども、遠位ではなく近位の感覚に注目すると、左の腰がいつもより前に出ている気がする。
もっと具体的にいうと、いつもより骨盤が回旋していて、左の腸骨陵が普段より前に来ている感覚。
ケアによる変化かな。
マシンに乗せたときの左足底の感覚が違う。シンプルにいうと、今までは屈曲か伸展しかなかったけれど、今日は弛緩してる。
もちろんこれまでも弛緩はあったけれど、それはインソールから指が浮いている状態で。その状態のまま動かすと、必ず屈指する。
けれども今日の弛緩は、指がインソールに乗った状態の弛緩。不安定な弛緩ではなく、安定した弛緩状態、といったところか。気持ちいい。緩んでいる。
そして午後に感じたのは。
脚の役割は、大きく2つ?なのかなと。
真ん中の直方体(ボディ)を①支える役割と②運ぶ役割。
そのためには、骨盤起点で、踵骨までの関節ラインを揃えて地面に乗せた後に、さらに腰骨の上に載っている直方体を骨盤に乗せる。この時に、関節ライン(つまり、大転子と踵骨を結ぶ延長線上にある腸骨ライン)に、直を謳いをスライドさせていくイメージか。
地面から脚が生えていく感覚が①で。スライドで運んでいくのが②。そして、運ぶ時に3本の背骨の回転運動を使うイメージかなと。
この日は、膝裏→脹脛→足底のケアをしていただいた。
4日目
この日の朝は、左脚だけではなく、右脚の脚運びも変わったなと。
昨日、左脚で学んだ回内→骨盤内旋歩きになってる。おもしろ。
合宿後、勉強しているときに知ったが、おそらくこれがロジャー先生の言うクロスエデュケーションなんだと思う。
Enoka, R. M. (1988) Muscle strength and its development: new perspectives. Sport Med. 6, 146-168.
午後に小山先生がいらっしゃってから、歩行を見ていただく。
上体を揺らして、左の関節ラインにまっすぐ乗った骨盤上に直方体をスライドさせる感じで、歩く。
空中では、膝の抵抗が少なくなるのでそこで回転数が勝手に上がるように、と小山先生。
膝は曲げるではなく、抵抗がなくなって勝手に曲がる、らしい。
適切な言葉で過不足なく言語化するのが難しいのだけれども、
「抵抗がなくなって、勝手に動く」ということなのかなと。
力みも、こういった抵抗の1つか。
もっと専門的に言うと、遠心性筋収縮時のMotor Unitのリクルートメント閾値が上がるように、ということになるのか?
ん、上げると抵抗が減るんだっけか?専門家じゃないからわかんないや。
でも、となるとこれ、もしかしたら足趾や足首でも同じことが言えるのかもな。
5日目
初の合宿延長初日。
朝起きて、気付く。
左足首の緩んだ時の位置が、角度的にかなり上に来てるなと。すごい。指も。緩んでる時の位置が違う。
この日は、今までなかなか痛くて履けなかったハイカットBeMoLoⓇを履くことができて。
足底や足趾の感覚が変わってきてるんやなぁと、実感。
午後は、小山先生と外に出て、ジムの周りを走っている大塚製薬の陸上選手の走りを一緒に観察。
地面の状況に応じて、骨盤の使い方を変えるというのがとても勉強になった。
また、途中で小山先生と眼鏡を取り換えっこしたのだが。
そしたら、先生のメガネは度が強すぎて。前が見えなくて歩くのが大変になって。
そのことを先生に伝えると、「たくちゃん、達人というのは、距離を歩数で覚えてます」
自分が何歩でどのくらいの距離を歩いているか。13歩でどのくらいか。12~13歩ベースで距離を考える。
距離が先にあるんじゃない、歩数が先で、距離があるとのこと。
おおー、すごいなぁーと思いながら、屋内競技場の横を歩いていると。
「たくちゃん、今何歩?」
「12歩です!」
間髪入れずに答えた。
「いいです!」と小山先生。
正直、間髪入れずに答えた自分に自分が一番驚いていた。
やって、そのとき「すげーなぁ」と思いながら歩いてて、歩数なんて意識して数えてなくて。
けれど、頭の片隅で、無意識にカウントしてる自分がいて。その数が12やったから12歩です!って答えた。完全な無意識。というか、反射的に答えてた。
なんか、なんかこの経験がとても奥深くってさ。
振り返ると、こういった無意識レベルでの反射動作こそ、僕らがこの先極めていくことなんやろうなって。深く身にしみました。
最終日
さぁ、いよいよ最終日です。
この日も、朝の脚の状態がすこぶるよくて。
朝、食堂に行く道中で気付いたのは。
今まで、朝の状態がいい時は、足首上げっぱなしとか、足趾上がってるーとかで歩きやすいのを状態がいいと思っていたけれど。
今朝は、踏み出し?蹴りだし?地面を押す時には足首や指がちゃんと下がって(それも力みなく!つまり、屈指せずに)地面を押せるし、滞空でも曲がらないし、接地のときに少し広がる、みたいな歩き方ができた!
これ、小さなことやけれど、すごいことなのではないか。
歩行って、力みない歩行って、こういうことなんじゃないか!?
新しい一歩を踏み出せた朝。
怪我や故障、麻痺は、欠乏感を感じるためのものではなく、充足感を感じるためのものである。
ない、できない、ではなく。
できた、変わった!と、強さを再認識する。
そんなことを考えながら。
この日の午後は、今回の宿題の動きとなるランジの姿勢を学ぶ。つまり、アキレス腱ストレッチの姿勢だが、膝が床に着きそうになるレベルで。これを、右手で何かを支えにして、数十分保持。これが宿題トレーニング。
そして、ハイカットBeMoLoⓇでの立ちっぱなし。これも宿題トレーニング。この立ちっぱなしも30分以上続けられた。それも、力み無しで!つまり、屈指なしで!
もちろん、2、3回屈指することはあった。
けれども、それを自分の意志で(ここ重要!)戻すことができた!しかも、脚を組まずに、立ちっぱなしのままで!
これは、ほんまにすごい。
そして、小山先生に言われた。
「随意で動かせたね!!」
この言葉がどれほど嬉しかったことか。
そうか。おれはもう、随意で動かすことができるのか!!
もちろん!この先もまだしばらくの間は、麻痺によって不随意に體(からだ)が勝手に動くこともあるだろう。そして、それによって痛みが生じることもあるだろう。
けれども、それももう今となっては、自分の意志で、つまり随意で元に戻すことができるようになったんだ…!!
とてつもない喜びと感動。嬉しい、嬉しい!
そんな動作をしながら、小山先生と対話していても、力むことは少なくなっていて。
「たくちゃん、緊張じゃないんだ。弛緩でも麻痺はある。緩むんだ」
なるほどなぁと。
その後、ロードバイクのペダリングを見ていただいて、からだの使い方を教わって。
前泊と後泊を含めた7泊8日のトレーニング合宿が終了しました。
まとめ
今回の合宿では、多くのことを学びました。
麻痺による不随意運動が起きたとしても、自分の意志で随意的に戻すことができるようになった(これぞまさに、レジリエンス!)のがとても大きな進歩だし、もはやもう麻痺が治ったと言っても過言ではないのかもしれない。
なぜなら、あとは頻度と強度の問題だから。
いやぁ、嬉しいな、嬉しいな。
帰りの日には、午前中だけ軽くトレーニングをして、菰田コーチとツーショットを撮って(嬉しい!)、帰宅。
帰路の途中で、行きつけのサウナに寄ったんやけれども。
いつも、ベンチに座ると足が拘縮して、足底が床に着けられなかったのが、べたッと緩んだ状態で足底を地面に乗せることができて、びっくり。
とても緩んだ状態で、端坐位ができるようになってる!
実は、帰りの約3時間の運転中も、しっかりと足底を乗せることができてて、感動した。
すごいなぁ、すごい変化やなぁ。
そして、今(執筆時)では、足趾もやけれども、足首や太ももの使い方が気になりだしてるのが、大きな進歩やなと思うのです。
さて、次回合宿も直近でとのこと。
次回の合宿が楽しみです!