補装具なしでサッカーができるほど機能改善!?’かわし動作’の学びがすべてを変える-ワールドウィング本部合宿2回目

合宿レポート
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さて。待ちに待ったワールドウィング本部(鳥取市)での2回目の合宿の様子をレポートにまとめていこうと思う。

前回の合宿の時には、左足の指の間に褥瘡ができてしまって。本当に歩けないくらいの状態だったけれど、BeMoLoⓇ(ビモロ)シューズのおかげで、結果的には補装具なしでも歩けるようになりました。

ほんとうに、すごい。

1回目の合宿レポートや、機能改善の様子は下記記事にて。

特に2つ目の記事では、受傷後20年の時を経て、なんの補助具もなく自分の足だけで走れるようになった喜びと感動をレポートしています。

いやぁ、本当にうれしかった。

だからこそ、この2回目の本部合宿が待ち遠しかったのです。

さてそれでは、そんな本部合宿での学びをまとめていきます。

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ワールドウィング本部合宿-前日

着いたら大雪でした。久しぶりの雪、楽しい。

前日のコンディションは、正直イマイチで…

昨日も提携施設でトレーニングはしたけれど、なかなか左脚の屈指が強くて、歩きづらい。

とはいえ、朝起きてすぐは調子が良かったので、この合宿に向けての緊張も相俟って、かもしれないなと。

身体の痙縮の強さは、けっこう心因的な影響が大きくて。

まぁ、脳を開けてるもんで、もともと自律神経のバランスがぶっ壊れてるのもあるんですけど。

(気が張るとすぐにとてつもなく発汗したり、朝が動けなかったり、夜は入眠困難だったり)

けれども、初動負荷トレーニングⓇを始めてからか、夜はよく眠れるようになったなぁと思います。

「ゆったり」を実践するからこそ、肉体的な力感だけでなく、精神的な力感や、神経的な力感も緩んでいくのかなぁ、なんて思ったり。

ありがたいことに、ジャグジー付きのお部屋を使わせて頂いたので、ゆったりとお湯につかって、身体も心もす神経も緩めることに努めました。

前日は嬉しさが爆発していましたね。

ワールドウィング本部合宿-1日目

初日の朝ごはんはこれやったんやけれども。

ここにも学びがたくさんあって。

まず、米とみそ汁。これは鉄板。結局和食が最高で。日本の強さは和食にあると思ってる。

そして注目すべきは、タンパク質の豊富さ。

この朝食だけで、4種類ものたんぱく質が取れるすばらしさ。

魚由来(焼き魚)、肉由来(ミートボール)、卵由来(温泉卵)、植物性由来(納豆)のたんぱく質が摂取できる。

いやぁ、ホンマすごいなと。

そしてよくよく観察していると、毎食これが意識されてるんやなと、気付くわけで。

まだトレーニング始まってないのに、昨日からずっと感動しぱなっしで。どうなってしまうんでしょ笑

そしていざ、トレーニング開始!

今回は、アジア選手権に向けて装具なしでいつもでもランできるようにしたいのと、左肩がもっと自由に動く、あわよくば両腕スイムができるようにするのが大目標

  • 装具なしのランを定着
  • 左肩を自由に動かす(三角筋中部の拘縮を緩める)
  • 両腕スイムを実現(できたらいいな)

まずは、前回の合宿で習った動きの確認から。

前回の合宿から約4ヶ月間、週4~5回のペースで提携施設に通ってトレーニングを続けてきた。

最初のころはそれこそ1回2時間とかかかってたけれど、最近は30分で終わるようになっていて。

けれども、だからこそ忘れてた、ダイナミックに動かすこと。

慣れたからこそ、大きく動くではなくコンパクトになっていたんやなと、菰田コーチからの指摘で気付く。

あと、リズム感もたぶん大事そうやなと。

よく考えてみたらそうやな、力感があるからリズムが悪くなるし、力みなかったらポンポンポンってリズムカルに動くもんな。

けれど、だからと言ってコンパクトにはならない。ダイナミックかつリズミカルに動かす。うん。

そして、新しい種目が2つ増える。マルチ(半骨盤)とクラビクル(立位)。

特に半骨盤がきつい。

てか絶対、今回の合宿での最大の肝はこれ。半骨盤やなと直感的にわかる。

当日のトレーニング日誌には、▼こんなこと▼を書いていた。

膝を開いて、重さで曲がるイメージ。伸びはそんなに意識しなくてもOK。右脚やってるときも右股関節の内側がキツいけれど、左脚やってるときの右太腿の外側(大腿筋膜張筋かな)がかなり痛い。
けれどすごく身体が緩む感じするし、嬉しい。

そして、種目後の歩いた感じがすごい。大腿骨頭と寛骨臼がパチッとハマった感覚があって、とても歩き良かった…!

小山先生が伯桜鵬関とお話してた会話を聞いていると、お相撲さんの四股と似たイメージかもしやんなと。股関節からぐるんぐるん動かす感じ。そして、骨の接地面を増やして安定させる…?

骨と骨って直接くっついてたっけ…?あかん、最近解剖したい欲が強すぎる。。

そして今回はまだ、指のことをやる前にこの股関節をやろうとのこと、小山先生曰く。

焦る気持ちはあれど、この世界で起こることは全てシナリオなので。もう撮り終えられた映画を回想シーンとして観ている感じで、焦らずに、シナリオのままに楽しみながらいきましょう。

そして、今回の合宿の2つ目の肝である、”かわし動作”について小山先生に教わった。

撓屈スキャプラというマシンを使って、身体で覚えていく。

これをするとすごい。左腕の拘縮しがちな三角筋中部がスッと緩むように。

こちらも当日の日誌から抜粋する▼

鎖骨から腕が伸びるイメージ?いや、違うな、多分、胸骨▶︎胸鎖関節▶︎鎖骨▶︎肩鎖関節▶︎上腕骨▶︎橈骨▶︎舟状骨▶︎大菱形骨に流れていく感じな気がする。

つまり、胸から手までが一直線でダイナミックに動く感じ。
そこに手の橈屈が加わって、かわしとなる?

この辺りの解釈や理解は難しくて(あくまで個人的なイメージ)。

西洋医学的に骨や筋肉、神経や血流などに個別分解して理解しようとすると、一連の動作感というか、ダイナミックさが消えてしまうし。一方で東洋医学的にそれらを統合して理解しようとすると、言語化して記述できなくなってしまう…

けれどまぁ、なんかシンプルにさ。

手と足どっちにも”かわし動作”が存在すると仮定したら、シンプルに身体の中心(胸椎や腰椎)から舟状骨までを意識し、舟状骨の”くの字”を返すように、腕なら撓屈、脚なら背屈+微内反+微内旋させる感じなのかなと(…伝わらん!笑)

まぁ、身体はわかってきたからいっか。

そしてまだ終わりません。

今回の合宿の肝となる3つ目のポイント、正体(せいたい)について。

人間の身体は、正体したらいかんのですと。

どちらかの骨盤先行で動くのが肝なのですと。

直感的にはこれも腑に落ちた。

けれども、コロセルマルの四足疾走を観察したりもしたけれども、初日では記述できるほどの解像度までは達せなかったなぁ。こっからやね。

ワールドウィング本部合宿-2日目

2日目の大きな学びは、午後の外練での歩行について。

片側骨盤先行で歩く時の足運びについて。

先行側の踵を、支持側の土踏まずあたりで半月を描くかのように振り出す動き。

多分、股関節から足を動かしたら、ペルビスの動きで股関節が自然と内旋して膝が曲がって支持側に足が運ばれて。そのままの一連の流れで先行側の骨盤に重心を移すと、勝手に小趾側に体重が乗っていくから。勝手に半月を描くような足運びになるんやと、思う。

つまり、まずは股関節のポジション。そこからの内旋動作、つまりはおそらく脚の”かわし動作”を意識したら、勝手にそうなる、はず。

そんなことがポイントやなと感じながら、ずっと歩いていました。

他にもポイントとなりそうなところを、当日のトレーニング日誌から抜粋してみます。

ゆったりは、目的ではなく結果なのかもなと。
結果であれば、求めなくてもいいな、方向性さえ合っていれば、と。
心地好く、それこそチクセントミハイ論のフローの中で。

ところで、バランスって何なんやろう。
これまでは正体がバランスの取れてる状態なんやと思い込んでいたけれども、そうじゃないのであれば、バランスの取れた身体って、いったい何なんやろう。

筋肉はエンジン。司令は脳。積み重ねを覚えるのは脳。
筋肉ではなく、脳への反復と蓄積が重要。共通言語は脳と神経。
高まった脳や神経系で、筋肉を鍛える。

そして、歩行やランに繋げていける陸トレも教えていただきました。

やり方はこんな感じ。

  • (踵をお尻まで引き付け片脚ずつ×10回+両脚で×10回+骨盤先行ダッシュ)×数set
  • (腕振り×60+骨盤先行ダッシュ)×5set

今回はダッシュはできなかったけれど、右脚踵上げと腕振りは積極的にやりました。

踵上げは、脚を振り落とす時に膝が骨盤位置から前に出ないように。

腕振りは、クラビクルのイメージで鎖骨から動かして。母指球側ではなく小趾球側、つまり腓骨側に重心を乗せながら振る用にすると、母趾がポンポンっと浮くようになる。つまり力感が抜けていきそうだなと。

そして、小山先生からのアドバイス。

腕振りの時には左腕を拘縮させてしまうのではなく、この時にも”かわし動作”を使うんやで、とのこと。

確かに、かわすと緩む。すごい!

今回の合宿の大きな収穫は、やはり”かわし動作”にある気がする。

そして、実はこの日は2023年12月24日クリスマスイブということで、午後イチでサンタさんの格好をして、ジムにおられた一般の方や合宿の参加者、いつもお世話になっているコーチ陣に神戸のチョコレートを配り歩いて。

特に、一般棟(?)の方におられる方々は、「こんなん貰ったん初めてやぁ」って喜んでいただいて。なんか、嬉しかったなぁ。

僕らが子どもの頃の時代には、クリスマスプレゼントをもらう文化?習慣?があったけれども。

昭和という時代にこの日本という強い国を、経済的にも精神的にも立ち直らせてきてくださった方々にはそういう文化はなくって。

きっと、もしそういう習慣があったとしてもご自身のお子さんやお孫さんにプレゼントをあげる側で。

そう考えると、そうやって日本を支えてきてくれた方々に、このクリスマスという大チャンスに何か少しでも贈り物ができたのは、とても嬉しかった。すごく嬉しかった。

そしてそして、いつもお世話になっている我らが小山先生には!

赤ワインをプレゼントさせていただきました…!

しかもなんと、お酒の中でも赤ワインだけは飲めるという小山先生。

よっしゃぁあああああ!外さなくてよかったー!やっぱりクリスマスといえば、赤ワインだよね。

喜びの溢れる地、ワールドウィング鳥取本部。

嬉しいね、嬉しいね。

そして2日目の夜に、部屋のジャグジーの癒し力に驚いたりしながら、眠りにつきました。

ワールドウィング本部合宿-3日目

3日目の朝に、正体(せいたい)についての気付きがあった。

8月の1回目の合宿以降の提携施設でのトレーニングの成果か、そういえば12月に入ったくらいから右骨盤先行で歩くようになっていたなと。

今回合宿で正確に教わるまでは、「果たして、最近身を半身で歩く動きが多くなってきたけれど、これは良いことなんやろうか」と不安もあったけれど。すごいな身体っていうのは。勝手にいい動きができるようになっていたんやなと。

そして、3日目のトレーニングを通して、右骨盤先行で歩くのが力みが抜けてよさそうということに気が付いた。

おそらくやけれど、右骨盤先行で骨盤旋回するときに、重心が左脚の腓骨側に移ることによって、左拇趾球が浮く。それによって拇趾の痙縮が緩むのではないかと。

シンプルにすると、右骨盤を内旋させると左拇趾球の麻痺が緩む。もっと言えば、右腕の”かわし動作”によって肩甲骨を誘導することによって、左拇趾が緩む。

改めてまとめると、めっちゃおもしろいなぁ。おもしろい。ほんまに、これまでと時代(era)がちがうというか、パラダイムが違うというか。すごい。

やって、究極的には肩甲骨で歩くわけやから。いやもっと言えば、背骨の回旋で歩くわけや。

何ゆってるかわからないと思うので、まずは下記動画を見てください。この動きです。

▼右脚先行で歩いている動画。

骨盤先行側、つまり健側では、胸椎の回旋→胸骨→胸鎖関節→肩鎖関節→上腕骨→橈骨尺骨の回内→舟状骨意識のかわしを一連の腕振り動作の中で行って、それに誘導された腰椎の回旋→骨盤回旋→寛骨臼から大腿骨へと繋がる股関節の連動→脚の振り出しへと繋がっていく。

そのときに患側では腓骨側への重心移動によって、つまりビモロバーへの重心移動によって支持性を高め、あとは先行側の骨盤による重心移動の流れに任せるだけ。まさに初動による行雲流水が如く、動作は一連の中で流れていく。

うぅ、くそう。そもそも健側と患側を分けて捉えること自体、間違ってる気がしてきたぞ。

すべては初期ポジションからの一連の動きなんや。分解分析するのは、受け取るときだけ。出力するときには統合された一連の流れの中で感じるだけでいい。

その辺のバランスは、なかなか奥深いなと思うわけです。

そして、なんと!サッカーまでできるようになりました!

AVMが発症するまでは、もともとずっとサッカーをやっていて。

麻痺をいただいた後も、プラスチック製の補装具を着けて無理やりやってはいたけれど、何度も割れたりして危なくって。

それが、20年を経た今、補装具なしで。自分の脚だけでサッカーができるようになった!

うう、すごい、嬉しい…(泣)

この半年。小山先生と出会ってからの躍進がものすごいです。ありがとう…!

この日の日誌から、感動具合を抜粋します。

…けれど、今日、今。
おれ、サッカーできた!ボール蹴れた…!

しかも、当時は必須やった補装具なしで!すごい、マジですごい、嬉しすぎる。

おれ、なんでもできるやん。

自分の脚だけでサッカーもできるし、演劇もできるし、ランもできるし、ロードバイクにだって乗れる。

きっとこれから、できるようになっていく。
すごいなぁ、ほんっと、すごい。

この感動を言葉としてまんま残せないことがもどかしいくらい、震えている。

小山先生、とてつもなく素敵なクリスマスプレゼントをありがとうございます。

今回の合宿では、小山先生と2人でサッカーをした。貴重な思い出となりました。

そしていつも支えてくださるコーチ陣や家族、チームのみんな、サポーターのみんな、この地球に、いや宇宙に存在しているみんな、感謝です。

いつか、みんなで遊ぼうね。
そんな合宿3日目の午後でした。

▼この日のトレーニング日誌の詳細はこちら▼

ワールドウィング本部合宿-最終日

最終日は、次の合宿までの間にやっていくトレーニングメニューの組み方や内容についての確認をメインにする意識で取り組みました。

特に午前中は、脳が書き換えられていく感じでずっとぼーっとしてたなぁと。

今後継続でやっていくメニューは、こんな感じ。

文字に起こすと、今後のベーシックメニューはこれ▼

  • ペルビス:30回/10kg×3set
  • スキャプラ(座位クロス):30回/5kg×3set
  • ヒップジョイント:50回/10kg×3set
  • クラビクル(座位前向き):30回/5kg×3set
  • マルチ:50回/10kg×3set
  • マルチ(半骨盤):30回/10kg×3set
  • ペルビスクロス(右脚):50回/10kg×3set
  • ペルビスクロス(右脚骨盤旋回):50回/10kg×3set
  • ペルビス(右脚内旋屈曲):50回/30kg×3set

これは関西に帰ってきてから気付いたことやけれど、ここの「ペルビスクロス(右脚骨盤旋回)」は、荒川コーチにやっていただいていた激痛押さえの押さえなしver.やと思う、たぶん。

そして、午後は河川敷に移動して、坂道を使ったトレーニングを。

昨日に引き続き、踵お尻引付と片脚骨盤旋回をやったのちに、片側骨盤先行での歩行練習をしました。

その後、ワインのクリスマスプレゼントのお返しに、伯桜鵬関とおそろいの黄色のBeMoLoⓇ(ビモロ)シューズをいただきました。嬉しい!

そうして、ギリギリまでマシンを使ったトレーニングをさせていただき。

荒川コーチによる、ペルビスクロスの激痛押さえを最後に1setやっていただきまして、今回の合宿は終了と相成りました…!

今回の合宿でのポイントは、大きく4つ。

  • 半骨盤、つまり股関節の外旋方向への動き
  • かわし動作
  • 正体(せいたい)しないこと
  • 重心は腓骨側で

次の合宿まで、今回習ったことを身に付けながら動作改善していきます。

それではまた会う日まで。行ってきます…!

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